その額、そのままで, だいじょうぶですか?
時々、外で食事をしたり、出張や旅行でホテルや旅館に宿泊したり、また病院や役所に行ったりすると、色々な額装をされた絵や写真を見かけます。 そんな時いつも感じることがあります。
額の中にある作品はともかく、展示の方法(壁面への取付)、ホコリをかぶったまま額の四隅が壊れたまま展示されていたり、、、
傾いたまま、、、ガラスが油やタバコのヤニで薄汚れているまま飾られている現実。
あ~ヒモが、、、切れそう、、
額縁や絵画に知識が無い方(失礼)が管理しているとこうなるんだな、と私は仕事柄何とかならないかと思っていました。
このご時世、経費がかかる本格的な修復は見積りをだした瞬間に話が無くなってしまいます。でもなんとかしたい、できるだけ安く、美術品を販売する以外に皆様のお役に立つことができないか
額縁を取り扱っていて売りっぱなしになっていないか、という観点から誕生したのがガクブチ・レスキュー・プロジェクトです。
ガクブチを救え!
~もっとセンスよく、キレイに安全に額縁を楽しんでください!~
●店長の独り言
あらゆる所で絵が額に入って飾られています。 しかし一般の方が気付かなくても私ども専門家が見かけて色々と感じることがあります。 センスがイイワルイ以前の問題です。
額と絵が合っていない、壁に何年も掛けっ放しで掃除をしていない、額が壊れたまま、、、
ガラスが油とタバコのヤニで茶色になっている。飾っている場所がよくない
また不適切な取付けをしていて落下の危険がある。額のヒモは古くなると切れやすいですよ、、、ガラスのままで大丈夫ですか? アクリル板が安全ですよ 、などと勝手に感じているわけです。
~最近ガラスをアクリル板に交換されるお客様が増えております。~
~ガラスが汚れていませんか?~
毎日見ていると案外汚れに気が付かないものです。 特に飲食店さんに目立ちます。
額からガラスを外してクリーニングします。 ガラスをムラなくピカピカに磨き上げます。額から外さないと洗剤で額を傷めてしまいます。 特に古い額は要注意でガラスを外すこともひと苦労です。
特に大きい額は気を付けないと割れやすいです。
●汚れたガラス

クリーニング済み 汚れたガラス
●~マットボードってなに?~
通称、マットと呼んでいます。

このような額装が一般的です。
作品と額縁の間にある白い部分がマットボードです。
ポスター、版画、写真、書等の額装品の額縁と作品の間にある厚紙のことです。殆どは作品にあたる箇所を斜めカットしています。厚さ1,5mm 2mm 3mmが一般的です。
他にもたくさんの種類があります。詳しくは額縁・額装のページをご覧下さい。マットボードは見た目の効果と作品を守る役目があります。
●シミが発生したマットボード

ここまでシミ、汚れが発生したら即交換です
シミが多数発生しているマットボードは何年も飾りっ放しの額によく見られます。
マットボードがこの状態になったらすぐ交換です。
ガラスをクリーニングしてマットボードを交換すると見違えるほどキレイになります。
その他にカビの発生も考えられます。カビが作品に付着したら大変です!
特に日本画の美人画、白く描かれた頬の辺りにポツンと黒カビが、最悪です。
早目の処置は結局安上がりで、安全確実です。
●ガクブチの取り付けは万全ですか?
今お使いの額縁はホコリだらけになっていませんか? 1年以上手も触れて いないのなら裏の吊ヒモをチェックしてください。額縁の落下事故は ヒモの経年劣化による切断、額縁側壁側の取付金具の不具合か劣化破損に
よるものがほとんどです。
額が落ちてケガをしたら大変です。

これはおすすめできません、軽いモノ(色紙額程度)ならいいのですが、
重量があるモノはやめておいたほうがいいでしょう。
今、この金具(L型、丸ヒートン)を使っていたら、ぐらつきをチェッして下さい。
もしグラグラしていたらすぐ専用金具に交換しましょう。

釘が打ち込める壁であれば最も簡単で確実です。直径1mm程度の穴は開きます。カナヅチさえあれば簡単作業できます。壁に対して直角ではなく約45度斜め上から打ち込みます。ご注意:撮影するために釘が出ていますが実際には最後まで打ち込みます。

ステンレスで丈夫落下・盗難防止用取付け方法は上記のフックとおなじです。材質がステンレス製でかなり強いです。そして簡単にヒモが外れないようにカエシがついています。衝撃による脱落防止になり、完全ではないですがちょっとした出来心を防ぐ盗難防止にもなります。

重い作品にはこのようなフックをお勧めします。耐火ボードやコンクリートに取り付けます。
●ケプラー製のヒモ・ワイヤー・吊金具

ようやく最近ガクブチ用のケプラー製吊ひもが一般的になってきました。
ケプラーというのはとにかく頑丈です。防弾チョッキや宇宙飛行士の船外活動の際命綱として使われているそうです。対磨耗、対伸縮に大変すぐれています。当店ではワイヤーとともに大型、重量のある作品については以前より使用しています。
吊金具についても専用のものを使っています。
コストはかかりますが、安全第一です。
●ピクチャーレール
一般の方もピクチャーレールを使用するようになりました。
ギャラリーでは1週間から2週間で展示している作品を入れ替えなければいけないのでピクチャーレールは必須アイテムです。しかし打ち込みフックだけで展示しているギャラリーもあります。 本当は私もそうしたいのですがウチの画廊もピクチャーレールを使用してます。
そう確かに便利です。しかしワイヤーの影が気になります。
弊廊ではレールは壁に埋め込んでいます、どういうことかというとワイヤーと壁が密着してワイヤーの影が発生しません。後付けのレールにワイヤーを吊るすと壁とワイヤーが離れていてワイヤーの影が発生します。ワイヤーと影で線が2本見えます。
あともうひとつこのワイヤーに絵(ガクブチ)をかけるとテコの応用で予想以上に前に傾いてきます。特に小さな作品に目立ちます。画廊ではガクブチの上の方から見えているワイヤーをガンタッカーで打ち込み固定します。そうするとワイヤーと壁が密着して影が発生しません。
ただしプラスターボード(石膏ボード、耐火ボード)にはあまり効きません。
大作を吊るときはワイヤー2本を使用することが多いです。
作品が大きい場合は作品の水平を保持しやすいからです。
●絵画を展示する高さ
設置する場所は大事です。以前、弊廊で絵画を買っていただいた方のご自宅を訪問する機会がありました。買っていただいた作品が壁の上、天井の下10㎝位のところに掛かっていました。見上げても作品が見えません。その下の壁面には何もありません。お客様は絵は高いところに掛けるものだと思っていたそうです。確かに日本間でしたら鴨居・長押等の上に横長の書や遺影額を掛けます。日本人にはその習慣があるのです。事実、壁の高いところに絵を掛けている場面を良く見ます。ホテル・公共の施設でもよく見かけます。許されるなら絵の中心が大体、人の目の高さに掛けるととても見やすいです。一般家庭ですと棚や家具等があり、そうはできないと思います。心から好きな作品を掛けるなら場所を作ってください。テレビだったら良い場所に設置します。同じ考え方です。
●修復

油絵具の剥がれ
古い油絵は展示、保存環境により絵具の亀裂剥離等様々な傷みが見られます。クリーニングにより早期発見できればコストも 本格的な 修復に比べれば安く抑えることができます。
作品を実際に拝見しないと正確な御見積はできかねますのでご了承ください。
ガクブチの修復も承っております。